タタミ王国物語


 − 放課後公園で… −

今日は、学校終わりに公園に集まることになっている。

残りの授業もソワソワしていた。

「ウラン、ウラン…」
小声でオモテが話掛ける。

「ナーニ?兄ちゃん。」

「あれ、忘れるなよ!」

「わかってるよ。」

「あれってなんだよ〜」
後ろのホンマ君が聞いてきた。

「何故かしら?今日は騒がしいわね〜」
気がつくとザクイ先生がオモテの横に立って見下ろしている。
「先生ごめんなさい、もう静かにするよ。」
ウランがとっさに応えた。

カーン、カーン、カーン…終了の金が鳴り響いた。
急にみんなの顔が笑顔になり、早々と方片付け始めた。

「公園に集合だよ!」
オモテ君が皆に向かって言った。

「ウラン君、公園に案内して。」

「もちろんだよピース君、一緒に行こう。」


そして、公園に皆があつまった。

「皆集まったみたいだね。」
タタミが袋を取り出して皆に一つずつ配った。

「わ〜ドーナツね。」

「母さんが昨日作ってくれたんだ。とっても美味しいんだ、みんな食べて。」

「オモテ君とウラン君のお母さんのドーナツ美味しいよ、ありがとう。」

ホンマ君とキョウマ君が話していると、公園の中を指してピース君が言った。

「あのさ、さっきから公園を早歩きできまわっている人がいるんだけど、誰?」

ピース君はちょっとびっくりしたように見入っている。

「あ〜グルグルだよ!」
クロス君が応えた。

「グルグル…?!」

「帽子とサングラスとマスクして登山者のようなかっこうで、いっつも早歩きでグルグル公園を歩いてるんだ。」

するとオモテ君が、
「日のよく当たる日は日傘も持ってるんだ。そして急に立ち止まったかと思ったら、ポケットからハトにエサをばらまくんだ。急に立ち止まるから、いつもびっくりするんだ。」

「へ〜グルグルおじさん?」
ピース君は、改めて見直した。

「本当の名前は知らないんだ!」
ウランがピースに言った。

そう話しているうちに、グルグルが戻ってきた。

みんなドーナツを食べながら注目していると、いつものよういに急に立ち止まり、ポケットからハトのエサをばらまいた。

「本当だ〜」
ピースはその姿を面白そうに見てると、グルグルがこっちに目を向けた。

「わっ!こっち見てるぞ。
ウラン君が慌てて目をそらした。

同時にピース君も慌てた。

こっちをじっと見ていたが、グルグルはまた早歩きで歩いて行った。

ホンマ君が、
「グルグル行ったよ。僕達の方見るなんて驚いたよ、怒られるかと思った。

「私、思うの。グルグルはきっといい人だって。動物に優しいんだもの。

「僕もかおりちゃんと同じように思っているよ。

ウラン君が言った。
オモテ君は、グルグルが動物にやさしいというより、ハトにえさをやるのが楽しいんじゃないかと思った。確かに悪い人ではなさそうだ…

するとギターの音が流れてきた。
じゃれあっていたオモテ、ホンマ、キョウマ、クロスも音楽を聞いてよってきた。

「なんだか音楽っていいな。ピース君皆で歌える歌を教えてよ!」

「そうだな〜」

「“大事な友達”の歌にしよう〜♪」


手をつなごう〜♪

手をつなごう〜♪

手をつないだ君は気がつくといつも隣にいる

どんな時も力になってくれる君は大事な友達



手をつなごう〜♪

手をつなごう〜♪

手をつないだ貴方はいつも守ってくれる

時には厳しい貴方は大事な父さん


手をつなごう〜♪

手をつなごう〜♪

手をつないだ貴方はいつも暖かく包んでくれる

いつも笑顔の貴方は大事な母さん


そして手をつなごう
しっかりと手をつないで前に進んで行こう〜♪





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第二章

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